i-Construction 2.0とは?中小建設会社の対応3ステップ

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2026/09/26

i-Construction 2.0とは?中小建設会社の対応3ステップ

結論から言うと、i-Construction 2.0は当面公共工事が中心の取り組みですが、対象範囲は段階的に広がっており、中小建設会社も「無関係」とは言い切れません。本記事では旧来との違い、自社が対象になるかの判断基準、限られた体制でも着手できる3ステップを整理しました。

i-Construction 2.0とは何か(3つの柱と2040年目標)

国交省が示す3つの柱

i-Construction 2.0は、国土交通省が2024年4月に策定した、建設現場の省人化と生産性向上を目指す取り組みです。人手不足が進むなかでも工事を続けられる現場をつくることを目的に、「施工」「データ連携」「施工管理」の3つの領域をオートメーション化(自動化)する方針が示されています。

柱の名称

目的

現場での具体例

施工のオートメーション化

少人数でも施工を進められる体制をつくる

自動化施工機械の導入、無人化施工の拡大

データ連携のオートメーション化

現場と関係者間の情報共有を効率化する

施工管理情報(工程・出来形・写真等)を共有するASP(情報共有システム)の活用拡充

施工管理のオートメーション化

検査・管理にかかる人と時間の負担を減らす

遠隔臨場による立会検査、カメラ画像解析による出来形検査

国土交通省は、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、生産性を1.5倍に引き上げることを目標に掲げています(国土交通省「i-Construction 2.0」報道発表資料、2024年4月)。中小建設会社にとっても、これは「将来的に人を増やさず今の工事量をこなす」ための道筋を示すものといえます。

旧来のi-Construction(1.0)との違い

何が変わったのか。一言でいえば、「デジタル化」から「自動化・遠隔化」へと重点が移りました。従来のi-Construction(1.0)は、ICT施工(ドローンやGPS機能付き建機を使い、測量・設計・施工を3次元データでつなぐ手法)やBIM/CIM(構造物の3次元モデルに設計・施工・維持管理の情報を集約する仕組み)の導入・普及が中心で、「データを使えるようにする」段階でした。

i-Construction 2.0では、そのデータを土台に、施工そのものを機械が自動で行い、検査や管理を遠隔・自動で済ませる段階へと進みます。現場管理者の目線でいえば、これまでは「図面や測量データを電子化して共有する」ことが目標でしたが、これからは「人が現場に張り付かなくても、施工・検査・管理が回る」ことが目標になります。

中小建設会社にも関係があるのか(対象範囲とスケジュール)

BIM/CIM原則適用拡大など、対象が広がっている範囲

結論から言うと、i-Construction 2.0は大手ゼネコンだけの話ではありません。国土交通省は2023年度から、直轄の土木工事・業務について原則としてBIM/CIM(3次元モデルを使って設計・施工・維持管理の情報を一元的に管理する手法)を適用する方針を進めており、その運用方法を整理した「BIM/CIM取扱要領」は年度ごとに改定されています(国土交通省「技術調査:BIM/CIM関連基準要領等」令和8年3月最終改定)。最新版は都度、国土交通省のサイトで確認する必要があります。

この動きは直轄工事に限った話ではなく、発注者側の要件や入札・審査の基準づくりを通じて、都道府県・市区町村発注の公共工事にも段階的に波及していく可能性があります。対象範囲は今後も順次拡大していくとみられ、「自社は元請けではないから関係ない」と決めつけるのは早計です。特に公共工事を受注する機会がある会社は、発注者側の要件が変わるタイミングで対応を求められる可能性があることを前提に、情報を追っておく必要があります。

判断基準:自社が対象になるかどうかの見分け方

自社がどの程度優先的に対応すべきかは、受注構造によって目安が変わります。

  • 公共工事の元請けとして受注する機会が多い場合は、発注要件の変更が直接自社の業務に影響するため、対応の優先度は高めです。BIM/CIMや3次元データの取り扱いについて、早めに情報収集と社内体制の検討を始めておくと変化への対応がしやすくなります。

  • 下請け中心、または民間工事が主体の場合は、当面の緊急度は元請けほど高くありません。ただし元請けからデータ形式の変更や新しい管理方法への対応を求められる場面が今後出てくる可能性はあるため、動向を継続的に把握しておくことが望ましいです。

  • 公共工事と民間工事の両方を扱っている場合は、公共工事の受注比率が高い事業部門から優先的に情報を整理し、社内での対応順位をつけておくと判断がしやすくなります。

いずれの場合も、現時点では「今すぐ全面対応が必要」と断定できる段階ではありません。あくまで自社の立ち位置を把握するための目安として捉え、発注者側の動向を継続的に確認していく姿勢が重要です。

中小建設会社が今から着手すべきステップ

何から始めるか(優先順位)

限られた人員と予算の中で、いきなりICT建機の導入やBIM/CIMソフトの契約から始める必要はありません。まず着手すべきは、投資を伴わない情報整理と小さな検証です。優先順位の目安は以下の通りです。

  • 自社の受注構造を確認する:公共工事(国・都道府県・市町村発注)の割合、発注者の種類、対象となりやすい工事規模を洗い出す。民間工事中心であれば、対応の緊急度は下がります。

  • 既存データを電子化する:図面・写真・日報など紙やバラバラのファイルで管理している資料を、まずはフォルダ構成を統一して電子化する。BIM/CIMやICT施工の前提となる土台づくりです。

  • 小規模な試行を行う:ドローンによる測量やクラウド上での写真管理など、既存の外部サービスを使って1現場だけ試してみる。導入効果と現場の負担感を先に把握できます。

  • 本格投資は試行結果を見てから検討する:ICT建機のリース・購入やBIM/CIMソフトの本格導入は、試行で得た手応えと自社の受注状況を踏まえて判断する。

制度の全体像を網羅することよりも、体制が限られる中小建設会社にとっては「何を後回しにできるか」を見極める実務目線が重要です。

つまずきやすいポイントと注意点

最も陥りやすいのは、現場の実態を無視した一気通貫の投資です。測量から施工、検査まで一括でデジタル化しようとすると、現場が操作を覚えきれず、結局紙の帳票に戻ってしまうケースがあります。

次に注意すべきは、ツール導入自体が目的化することです。BIM/CIMソフトを契約しても、モデルを作れる担当者が社内に一人しかいなければ、その人が異動・退職した時点で運用が止まります。さらに、現場ごとに使うツールがバラバラになると、データが蓄積されず、属人化がかえって進む場合もあります。

小さく試し、定着を確認してから次の範囲に広げる進め方が、投資を無駄にしないための基本です。

まとめ

i-Construction 2.0は2040年度を見据えた長期的な取り組みであり、対象は当面公共工事が中心ですが、BIM/CIMの原則適用範囲は段階的に広がっています。中小建設会社にとって重要なのは、制度の全体像を追うことよりも、自社の受注構造を確認したうえで、データ整理や小規模な試行から着手し、現場に定着する形で対応範囲を広げていくことです。

よくある質問

Q. i-Construction 2.0はいつから始まっている取り組みですか?
国土交通省が2024年4月に策定・公表した施策で、2040年度までに建設現場の省人化3割、生産性1.5倍を目指しています(国土交通省「i-Construction 2.0」2024年4月公表資料)。すでに動き出しており、今後数年かけて段階的に取組内容が具体化していく見込みです。

Q. BIM/CIMに対応していないと公共工事を受注できなくなりますか?
国の直轄工事では2023年度から、維持工事など一部の小規模工事等を除いてBIM/CIM原則適用が始まっています。ただし対象は主に国の直轄事業であり、地方自治体発注工事や民間工事への適用状況は発注者ごとに異なるため、自社が受注する工事の発注者に確認することが必要です。

Q. ICT建機を持っていない会社はどう対応すればいいですか?
所有していないからといって直ちに受注機会を失うわけではありません。ICT建機はレンタルやリースで一時的に利用する方法もあり、まずは測量データの電子化や小規模な試行から始め、必要な工事が出てきた段階で機材の調達方法を検討するという順序でも対応できます。

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